脂質異常症の患者調査は、厚生労働省が3年ごとに実施しています。
直近の調査は2017年。
脂質異常症の総患者数は約220万人でした。
内、男性約64万人女性156万人で、女性の方が男性より2倍以上多いという結果でした。
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目次
脂質異常症の患者数の推移は?
食習慣の欧米化にともない、日本人のコレステロールの値は男女ともに上がっています。
それに並行して、脂質異常症の患者数が増加しています。
男性は40台位から、女性は50代から急速に患者数が多くなっています。
若いうちは無関心な生活習慣も、その積み重ねが年を取ってから、脂質異常症として現れてくるのかもしれません。
この患者数を見ても、脂質異常症は国民病と言っても過言ではない病気になってしまいました。
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脂質異常症とはどんな病気でしょうか?
脂質異常症(高脂血症)は、血清脂質値が異常値を示す病気です。
血清脂質値とは、血液の中の脂肪分の濃度(濃さ)のことです。
血液の中の脂肪分はいくつかのタイプに分けられ、健康な人は、
・LDL-コレステロールが140mmHg未満、
・HDL-コレステロールが40mmHg以上、
・トリグリセライド(中性脂肪)が150mmHg未満です。
この三つの値のいずれかがその範囲を超えた状態が、脂質異常症です。
ただし、LDL-コレステロールが140mmHg未満であっても120~139mmHgの間は「境界域」に該当し、動脈硬化を引き起こす脂質異常症以外の病気(高血圧や糖尿病など)がある場合などは治療の必要性が高くなります。
脂質異常症という病名についてですが、これは以前、高脂血症と呼ばれていた状態とほぼ同じです。
しかし、善玉のHDL-コレステロールは高いほうが良いので、以前の「高脂血症」という病名ではそぐわない点があることなどのためにため、最近は脂質異常症と呼ばれています。
血清脂質値が異常でも、通常、症状は現れません。
症状が現れないのにもかかわらず、知らず知らずのうちに、全身の血管が傷めつけられます。
その影響は主に、動脈硬化となって現れます。
動脈硬化が進むと、心臓や脳などの血液の流れが悪くなります。
そして、あるとき突然、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの発作が起き、QOL(生活の質)が低下したり、ときには命も左右されかねません。
脂質異常症と指摘されたら、心臓や脳の発作を起こさないため、血清脂質値(とくに悪玉のLDL-コレステロール)に、いつも気をつけておく必要があります。
脂質異常症が増加傾向にある理由はなぜでしょうか?
脂質異常症は、生活習慣病の1つです。
日本では、男性40歳代・女性は50歳代から、発生頻度が増加傾向にあります。
とくに、50歳以降の女性は約2人に1人が脂質異常症であると言われており、日本人全体を見てもその患者数は増加の一途にあるようです。
なぜ、日本人に脂質異常症が増えているのでしょうか?
その原因の1つは、食生活の欧米化や生活習慣の変化です。
食事の摂取カロリー自体はほとんど変化していないものの、メニューの多様化により動物性脂質・糖分などの摂取量が増加しています。
ファストフードやコンビニ食などの利用が増えていることも、要因の1つとして挙げられます。
生活習慣では、車や電車の利用などで運動量が慢性的に減少していることが問題となります。
便利な世の中ではありますが、現代社会は意識して身体を動かさないと摂取カロリーを消費しきれないことが多いのです。
こうした背景が、日本における脂質異常症の増加に繋がっているとされています。
脂質異常症とメタボリックシンドロームとの関係性も考えてみましょう。
脂質異常症は、メタボリックシンドロームを診断する基準の1つです。
メタボの診断項目となっているのは、
・善玉であるHDLコレステロールと
・中性脂肪(トリグリセライド)の数値
です。
血液中のHDLコレステロールが40mg/dl以下・中性脂肪150mg/dl以上になると、メタボリックシンドロームの恐れアリと診断されます。
なぜなら低HDLコレステロール血症と高トリグリセライド血症の方は、どちらも内臓脂肪型肥満のメタボリックシンドロームであることが多めの傾向があるからです。
動脈硬化の進行が懸念される危険な状態であるため、メタボ傾向の方は脂質異常症にも気を配るようにしましょう。
まとめ
脂質異常症の患者数の推移は、年々増加傾向にあり、今では国民病と言われるほどです。
罹患の原因としては、やはり食生活の欧米化と運動不足があげられます。
生活習慣病は自覚症状があまりないので気が付けば重症になっていたり、脂質異常症は心筋梗塞、脳梗塞など命にかかわる大病の引き金にもなりますので、検診等でコレステロール値に異常があった場合は、きちんと診察を受け、適切な生活を心がけるようにしたいものです。
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