脂質異常症の薬の副作用にはどのようなものがあるのでしょうか?

脂質異常症が発見された場合、多くはまず食事療法、運動療法を3~6ヶ月行いながら経過観察します。

それでも十分に症状(検査値)が改善しない場合は、食事や運動療法と並行して、薬物療法を検討となります。

では、脂質異常症に処方されるとその副作用についてご紹介しましょう。

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目次

脂質異常症に使用される治療薬について

治療薬には、大きく分けてコレステロールを下げるのと、中性脂肪を下げる二つのタイプがあります。

肝臓での脂質生合成を阻害したり、胆汁酸の排泄を促進したりして血中の脂質を減らします。

主にLDLコレステロール値を下げる薬

HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン):肝臓でのコレステロール合成阻害

スタチン (Statin)、またはHMG-CoA還元酵素阻害薬は、HMG-CoA還元酵素の働きを阻害することによって、血液中のコレステロール値を低下させる薬物の総称です。

近年の大規模臨床試験により、スタチンは高脂血症患者での心筋梗塞や脳血管障害の発症リスクを低下させる効果があることが明らかにされています。

陰イオン交換樹脂:胆汁酸の排泄促進

脂質異常症の治療は食事療法や運動療法が基本ですが、これだけでは上手く脂質のコントロールができない場合があります。

この時に使用される薬としてコレスチミド(商品名:コレバイン)があります。

コレスチミドは脂質異常症治療薬の中でも、陰イオン交換樹脂(レジン)という種類の薬になります。
コレステロールは主に肝臓で合成されます。そのため、肝臓でのコレステロール合成を抑制する薬は「血液中のコレステロール値」を大幅に下げることができます。

ただし、肝臓はコレステロール合成だけを行っているわけではありません。

実際にはコレステロールを消化管へと排泄する役割も担っています。

この時、肝臓から排泄されるコレステロールは胆汁酸という形で分泌されます。

肝臓から胆汁酸としてコレステロールが分泌され、そのまま糞便として排泄されるのです。

ただし、肝臓から分泌された胆汁酸の全てがそのまま糞便として排泄されるわけではありません。

むしろ、胆汁酸の多くが腸から吸収されて再びコレステロールとして利用されます。

消化管へと排泄された胆汁酸は小腸から吸収されて再び肝臓へと戻っていくのです。

そこで、「胆汁酸が小腸から再び吸収される過程」を阻害します。

その結果、胆汁酸が減少します。

胆汁酸の原料はコレステロールであるため、胆汁酸の排泄を促進させることによって間接的にコレステロール値を減らすことができます。

陰イオン交換樹脂は胆汁酸を吸着することで、胆汁酸の再吸収を抑制します。

プロブコール:コレステロール異化促進

プロブコールはコレステロール異化促進薬と呼ばれる種類の薬になります。

脂質異常症の治療薬の中でも血液中のコレステロールを下げるために瀕用される薬として、スタチン系薬と呼ばれる種類の薬があります。

ただし、この薬だけではコレステロール値を上手くコントロールでない患者さんがいます。

そこで、スタチン系薬とは異なる作用機序の薬を用いることによって、コレステロールを適切な値に留めるようにします。

このような種類の薬の1つにコレステロール異化促進薬があります。

コレステロールは肝臓で合成されます。この時、コレステロール合成だけでなく、肝臓は「コレステロールを排泄する役割」も担っています。

基本的には、肝臓で合成されたコレステロールは血液中へ移行します。

しかし、全てのコレステロールが血液の中へ移行するわけではなく、胆汁酸へと変換されて排泄される場合があります。

つまり、コレステロールから胆汁酸へと変換された後、この胆汁酸の排泄を促進させれば、その分だけコレステロール値が下がるはずです。

このように、胆汁酸の排泄を促進する薬がプロブコール(商品名:シンレスタール、ロレルコ)です。

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小腸コレステロールトランスポーター阻害薬(エゼチミブ):小腸でのコレステロールの吸収を阻害など

細胞の構成成分やエネルギーとしてコレステロールは必要不可欠な物質です。

ただし、その量が多くなると血管の壁にコレステロールが沈着することで動脈硬化を引き起こしてしまいます。

これが原因となって、脳卒中や心筋梗塞などの致死的な病気を誘発します。

これを防ぐために、コレステロール値を適切にコントロールすることが必要になります。

そして、血液中のコレステロール値を正常な値に近づける薬としてエゼチミブ(商品名:ゼチーア)があります。

コレステロールは食事として外から吸収されるだけでなく、体の中でも合成されます。

実は食事から得られるコレステロールは約20%であり、残りの約80%は体内で合成されます。

そのため、従来の薬は「肝臓でのコレステロール合成を抑制する薬」が主でした。

そこで、今度は食事から摂取されるコレステロールに着目します。

前述の通り、コレステロールは体内で合成されると同時に、食事として小腸から吸収されることによってもコレステロールが蓄えられます。

そのため、食事由来のコレステロール吸収を抑えることができれば、血液中のコレステロール濃度を下げることができます。

このときのコレステロール吸収には輸送体として「コレステロールを汲み上げるポンプ」が関係しており、この輸送体として小腸コレステロールトランスポーターがあります。

そのため、この輸送体を阻害すると小腸からのコレステロール吸収が抑制されます。

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主に中性脂肪を下げる薬

フィブラート製剤:肝臓の中性脂肪(トリグリセリド)生合成を阻害

 血液中の悪玉コレステロールの量を減らし、善玉コレステロールの量を増やす作用があり、脂質異常症の治療に用いられます。

 フィブラート製剤は、肝臓でのコレステロールの生成を抑制し、コレステロールの排泄(はいせつ)を促進するはたらきがあるほか、尿酸を排泄したり血糖値を低下させる作用をもちます。

確実な脂質異常症改善作用があり、長期間使用しても副作用がおこりにくい薬です。

 また、血液中の善玉コレステロールの量を増やして、悪玉コレステロール量を減らし、脂質異常症を改善する薬です。

 悪玉コレステロール、トリグリセライドを減らし、善玉コレステロールの量を増やして、脂質異常症を総合的に改善する薬です。

ニコチン酸誘導体:胆汁酸の排泄促進

ニコチン酸とはビタミンの一種で、中性脂肪を下げる効果があります。

ニコチン酸は50年以上も前から脂質低下作用が認められていた物質です。

ニコチン酸は悪玉コレステロールを下げる効果の他、トリグリセライド(中性脂肪)の値も下げ、さらには虚血性心疾患のリスク因子である、Lp(a)を低下させることができます。

ニコチン酸はそのまま薬に使われるのではなく、ニコチン酸誘導体として薬で利用されます。

この薬は中性脂肪を下げるだけではなく、悪玉コレステロール(LDL)を減少させ、善玉コレステロール(HDL)の値を上昇させます。

安全性の高い薬でと言われています。

イコサペント酸エチル(EPA):肝臓の中性脂肪(トリグリセリド)生合成を阻害

イコサペント酸エチルは英語の頭文字を取ってEPAと呼ばれ、この成分は魚に含まれています。

サプリメントとしてEPAやDHAなどの言葉を聞いたことがあると思いますが、まさにこのEPAが薬として使われています。

EPA(イコサペント酸エチル)は動脈硬化を予防する作用が知られており、このEPAを高純度で含有した薬として利用されています。

そのため、いわゆるサプリメントよりも含まれるEPAの量が多いです。

EPAは魚の油として魚油(ぎょゆ)とも呼ばれます。

低HDLコレステロール血症の治療薬について

残念ながらHDLを直接増加させるような薬は現在ありません。

運動や適度な飲酒でHDLは増やせます。

食事や運動、禁煙などの生活改善をし、効果が見られなければ薬物治療に入ります。

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脂質異常症や高血圧などの生活習慣病の原因の一つに「活性酸素」があります。

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脂質異常症治療薬の副作用について

ではこれらの薬で起こりやすい副作用をみていきましょう。

  • 横紋筋融解症・ミオパシー:スタチン系・フィブラート系薬剤に多い副作用:筋力が低下し、筋肉痛や脱力などが生じます。薬の中止が検討されます。
  • 肝機能障害:肝臓に作用する薬剤に多い。自覚症状が少なく、経過観察が必要です。ひどい場合は薬を中止します。
  • 不整脈:プロブコールという薬では、まれに不整脈が出ます。薬の変更等が検討されます。
  • 消化器症状:薬全般で起こりやすい。便秘・下痢などの症状です。

また、他剤併用に問題がある薬もありますので、主治医や薬剤師さんのご相談ください。

まとめ

薬には必ずと言っていいくらい副作用があります。

人によって副作用が強く出る人もいればあまり出ない人もいます。

上記に挙げた薬を服用する方は「筋力の低下、脱力感」「肝機能障害」「不整脈」「便秘下痢」などの症状があったときは主治医の判断を仰いでください、。

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