脂質異常症 においての危険因子と、管理 目標値について

脂質異常症が発見されれば即薬物療法が必要というわけではありません。

脂質異常のみならず、喫煙、高血圧、糖尿病などの介入すべき危険因子をみつけ、それらに対する総合的な管理が重要です。

高血圧、糖尿病についてはそれぞれの専門学会のガイドラインがあり、その管理目標に従って治療管理されなければいけません。

そこで動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは脂質異常と診断された患者さんに対しての管理基準として、動脈硬化の危険度に従ったカテゴリーが定められ、それにしたがって治療管理の目標、方針が一般医家にとってより容易に行えるものになっています。

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脂質異常症の管理目標値は?

危険因子によるカテゴリー分類

脂質異常と診断された患者さんをカテゴリー別に管理目標値が設定されています。

まず対象者を、冠動脈疾患をいまだ 発症していない場合(一次予防対象者)であるか、冠動脈疾患をすでに起こしてしまった場合(二次予防対象者)であるかに分別する必要があります。

すでに冠動脈疾患を起こしている場合は動脈硬化症の治療が必要と考えられるため、一次予防とは完全に別個に扱われるのです。

二次予防においては、LDL-C値の管理目標値も低く設定され(LDL-C値100mg/dl未満)、生活習慣の改善と同時に早急な薬物療法が必要です。

LDL-C値を低下させることにより、冠動脈疾患はもとより総死亡の抑制効果を示し、二次予防ではLDL-C値の低下は必須であることを示し、さらに平均的なLDL-C値でも低下させることにより再発予防や死亡さらには脳卒中の抑制に有効であることが示されました。

一方、将来の冠動脈疾患の発症を予防することが管理目標となる一次予防では、LDL-C値以外の危険因子の重複度合により患者カテゴリーを低リスク、中リスク、高リスクの三群に分類する。

危険因子の重複が冠動脈疾患発症に大きくかかわっていることは。すでにアメリカの研究で明らかにされています。

日本でも同様な事実が確認されており、危険因子を意識して診療することの重要性がしめされています。

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☆脂質異常症の管理目標値

一次予防では原則として一定期間生活習慣の改善に努力しその効果を評価した後に薬物療法の適応を検討します。

薬物療法の導入に際しては、個々の患者さんの動脈硬化の危険因子を充分に検討してから適応を決定する必要があり、危険因子の少ない低リスク群では薬物療法の必要性はかなり低くなることを強調します。

管理目標値として、

主要危険因子がない場合{カテゴリーⅠ(低リスク群)}はLDL-C値160mg/dl未満、

主要危険因子が1または2個の場合{カテゴリーⅡ(中リスク群)}は140mg/dl未満、

3個以上の場合{カテゴリーⅢ(高リスク群)}は120mg/dl未満としています。

この値はあくまでも到達努力目標値であり、ここに到達しなくてはならないという数字ではありません。

図1

LDLコレステロール以外の危険因子についてご紹介します。

低HDLコレステロール血症・・・ HDL-C値の低下は動脈硬化性疾患の危険因子となり、逆に高いほどリスクが減少します。

最近の研究にて、HDL-C値が全死亡と有意に逆相関していることが示され、また、HDL-C値40~49mg/dlの群に比べて40mg/dl未満は一次予防対象者で相対危険度が1.30倍、二次予防対象者で1.60倍となることから40mg/dl未満を危険因子とされました。

一方、わが国の高HDL-C血症の中に一部コレステリルエステル転送蛋白欠損症の人が含まれ、HDL-C値100mg/dl以上の場合は本疾患を考えます。

本疾患による高HDL-C血症はリスクの減少とならない場合もあります。

また、健診などで高コレステロール血症の中には高HDL-C血症によるものが含まれており、LDL-C値が高くなければコレステロールの治療の対象とはなりません。

加齢・・・ 加齢が動脈硬化性疾患の強い危険因子であることは欧米でもわが国でも同様であり、冠動脈疾患に関しては男性は45歳から、女性は55歳から死亡率や発症率が上昇してくることが明らかにされています。

女性は閉経後がリスク増加点と考えられますが、正確な閉経時期が捉えにくいことがあり、わが国の女性がほぼ閉経している年齢に近い55歳以上が危険因子とされました。

高血圧・・高血圧は脳出血などの危険因子ですが、粥上硬化性動脈硬化の危険因子です。

血圧の上昇に伴い循環器疾患死亡の危険率が上昇し、血圧140/90mmHg以上で脳梗塞が有意に上昇すること、また、高血圧患者は非高血圧患者にくらべ一次予防対象者における冠動脈疾患発症の相対危険度は女性2.5倍、男性2.3倍となることなどが証明されています。

喫煙・・・喫煙は呼吸器疾患の主要な危険因子ですが、冠動脈疾患や脳卒中の危険因子であることも報告されています。

男性の冠動脈疾患死亡は、非喫煙者に対して1日20本以内のものは1.56倍、21本以上は4.25倍に達しています。

喫煙は脳卒中発症の危険因子であり、クモ膜下出血では4倍のリスクがあるといわれています。

また、冠動脈疾患の発症危険度は、非喫に対して喫煙者男性約4倍、女性約3倍、さらに、禁煙は循環器疾患死亡のリスクを2年以内に非喫煙者の水準まで、その危険度を速やかに低下させることが観察されています。

禁煙は冠動脈疾患の二次予防にも有効です。

心筋梗塞後の禁煙は死亡率を30~60%まで減少させることができると医データもあります。

また、わが国の男性で心筋梗塞後、喫煙を続けた患者さんは、禁煙した患者さんに比べ再発症の危険度が3.1倍と有意に高率となっています。

さらに、喫煙は閉塞性動脈硬化症の危険因子です。

糖尿病・・・糖尿病は動脈硬化性疾患の危険因子になります。

欧米では、糖尿病患者は非糖尿病患者に対して冠動脈疾患のリスクが2~6倍になることが報告され、日本でも同様の2倍程度のリスクでした。

糖尿病患者は初発の冠動脈疾患の発症率が非糖尿病者に比較して約2.6倍に、また、糖尿病ではLDL-C値が120mg/dl以上になると動脈硬化性疾患の発症リスクが有意に高くなると報告されています。

冠動脈疾患の家族歴・・・ 冠動脈疾患の家族歴、特に第1親等近親者の家族歴、また、早発性冠動脈疾患(男性45歳未満、女性55歳未満)の家族歴は、冠動脈疾患の強い危険因子となっています

高トリグリセライド血症・・・ 中性脂肪値(トリグリセライド:TG)と冠動脈疾患発症率には正相関があることが多く報告されています。

一方、その関連を否定する報告もあります。

最近の疫学調査でTG値が150mg/dl以上になると冠動脈疾患の発症が有意に増加するとの報告がされました。

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