コーヒーには糖尿病を予防する効果があるらしい・・・と言うお話。

2012年、米国国立衛生研究所が米国の医学誌に、「コーヒーを飲むことで糖尿病・心疾患・呼吸器疾患・脳卒中・外傷および事故・感染症による死亡のリスクが軽減される」という報告がされました。

今回は、注目され始めた糖尿病予防に対するコーヒーの効果や、楽しみ方,そして、糖尿病に罹患してしまった方への対応などをご紹介したいと思います。

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目次

なぜ糖尿病の予防にコーヒーが良いのでしょうか?

ハーバード大学が2014年2月の発表では、コーヒーを飲む量に比例して2型糖尿病を予防する効果が高まるという結果が示されています。
1日当たりのコーヒーの摂取量が多いほど糖尿病になる相対リスクが低下し、

1日1杯  -8%
1日2杯  -15%
1日3杯  -21%
1日4杯  -25%
1日5杯  -29%
1日6杯  -33%

となっています。(Diabetes Care. 2014 Feb;37(2):569-86)

ハーバード大学では別の研究も行われていて、コーヒーの摂取量増加によって2型糖尿病の発症リスクを低下できる可能性が、米国成人約12万3,000人を分析した結果から示され、2014年4月に米国の糖尿病専門雑誌 Diabetologia に掲載されてました。
コーヒーと糖尿病の間では用量依存性が示され、コーヒーを1日3~5杯飲む人では、2型糖尿病発症リスクが低くなっていました。

また4年間コーヒーを1日1杯(240mL)以上増やした人は、増やさなかった参加者に比べて、その後の4年間で2型糖尿病リスクが11%低くなり、逆に1日1杯以上コーヒーの摂取を減らした人のリスクは17%高くなったという研究報告があり、コーヒーの摂取量を増やしたり減らしたりすることにより、糖尿病のリスクを増減させるという結果になっています。(Diabetologia. 2014;57:1346-54.)

しかしながら一方で、コーヒーに含まれるカフェインは血液中から細胞内に糖が取り込まれることに対して悪影響を及ぼし、食後の高血糖を引き起こす可能性もあるようです。

糖尿病患者さん10人を対象にした小規模試験ですが、1日4杯分のコーヒーに相当するカフェイン500mgを錠剤で朝と昼2回に分けて摂取させたところ血糖値が8%上昇したという結果も出ています。
実験を行った医学心理学の教授は、「カフェイン摂取は2型糖尿病患者にとっては有害で、適切な血糖値の維持を難しくさせる」と指摘しています。

特に食後の高血糖、なかでも夕食後の血糖値上昇は26%と高くなっているので注意が必要だと結論づけています。

この実験に使われたカフェイン500mgは朝・昼の食事時に2回に分けて摂っていますので、コーヒーに換算した場合4杯分(1杯約240mL、4杯では960mL)を2回に分けてとった形になります。
全日本コーヒー協会によると、コーヒー100mLには約60mgのカフェインが含まれていますので日本の120mLのコーヒーカップでいうと約7杯分となり、朝食時と昼食時に3~4杯ずつコーヒーを飲んだ計算になります。(Diabetes Care. 2008 Feb;31(2):221-2)

またカフェインは、血圧を上昇させる働きもあるので、高血圧の人は合併症を誘発する可能性があります。
病院で出されている糖尿病の薬の中には、コーヒーに含まれるカフェインの分解を抑えてしまうものもあり、体内でカフェインが分解されずに残ることで、カフェインの作用が増強してしまう可能性があります。

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糖尿病患者さんのコーヒーの楽しみ方

 

このように、コーヒーは糖尿病の予防には有用ですが、糖尿病患者さんに関しては、大量に飲むと食後の高血糖を助長してしまう可能性があるので注意が必要です。
またカフェインは緑茶や紅茶にも含まれます。
食後に1杯程度であればそれほど神経質になる必要はないかと思いますが、なるべくカフェインの影響が少なくなる飲み方をすると良いでしょう。
コーヒーだけではなく、緑茶や紅茶などのカフェイン入りの飲み物も合わせて考え、一度に3杯も4杯も立て続けに飲むようなことは避けましょう。

また、食後の高血糖に影響が少ない空腹時に飲むと良いでしょう。
ただし、コーヒーに含まれているクロロゲン酸には胃酸分泌を促進する働きがあり、人によっては空腹時にコーヒーを飲むと胃の調子を悪くしてしまう人もいます。

自分の体の調子をよく見ながら飲むようにしてください。

また、深煎りの豆は浅煎りのものに比べカフェイン量が少なくなっているので深煎り豆を選んだり、薄めのアメリカンで飲むのもおすすめです。
カフェインが入っていない、「カフェインレスコーヒー」ならカフェインを気にせずにコーヒーを楽しめます。

ただし、コーヒーに入れる砂糖やミルクは、何杯も飲むと糖分や脂肪の摂り過ぎにもつながるのでなるべく控えめで飲みましょう。
また、糖尿病の薬の中にはカフェインと相互作用があるものがあるので、薬が処方された際には医師や薬剤師に確認するようにしてください。

コーヒーには嗜好品であるという一面の他に、眠気を覚まし精神活動を活発にしたり、直腸がんのリスク軽減胆石の予防など健康面についても有用とされています。
糖尿病患者さんの場合は一度にたくさん飲まない、深煎り・アメリカンにするといった工夫をしながら楽しんでいくのが良いと思います。

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まとめ

コーヒーは不健康な飲料とみられていた時期がありますが、現在は2型糖尿病や心臓病、脳卒中の予防効果のある「健康的な飲料」として見直されています。

残念ながら、コーヒー効果のメカニズムはまだ解明されていないようですが、コーヒーには、ストレス緩和以外にも、糖尿病リスクを下げるような独自の効果があると考えられると、研究者は述べています。

コーヒーを飲んだ直後は血圧や血糖値が上昇しますが、日常的に飲み続けると心臓病や脳卒中の死亡リスクが低下することを示した研究結果は数多くあります。

コーヒーが糖尿病や心臓病の予防に効果がある理由として、コーヒーに含まれているカフェインやクロロゲン酸が代謝に関わっている可能性が指摘されています。

カフェインには交感神経を刺激する作用があり、コーヒーを飲むと、飲んだ直後には血圧値や血糖値が上昇します。

しかし、コーヒーを日常的に飲み続けると、体脂肪の燃焼が促されると考えれています。

また、コーヒーに含まれるポリフェノールであるクロロゲン酸には、強い抗酸化作用があります。

活性酸素は主に体内で作られる不安定な酸素で、過剰な活性酸素は細胞や遺伝子を傷つけ、血液中では脂質と反応し、動脈硬化や心筋梗塞などを引き起こします。

クロロゲン酸などのポリフェノールがそれを炎症や酸化ストレスを抑える作用をし、糖尿病や動脈硬化の予防に寄与しているのではないかと考えられていようです。

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